今回初心者の方にお送りするのは、防波堤(波止)のチヌ釣りの中から、紀州釣りとバクダン釣りをご紹介いたします。
釣り方の概要を解説する事で大まかにどの様な釣り方なのかがお分かり頂けるかと思います。
防波堤(波止)の釣り対象魚の中でも人気のチヌですが、その人気ゆえに全国各地で独自に発展した釣り方があります。
その中で、ダンゴを使用した伝統的な釣り方が紀州釣りとバクダン釣りなんです。
独自に進化発展してきた釣り方だけに、様々な利点がある釣り方です。
では、順番に見てゆきましょう。
初心者必見!海川釣り 防波堤(波止)のチヌ 紀州釣りとバクダン釣り どういう釣り方

紀州釣りとバクダン釣り、この2つの釣り方の共通点はダンゴで刺し餌を包み込む事が基本になっている点です。
しかし、ダンゴを作成する時の成分ベースに違いがあります。
紀州釣りは、ヌカと砂がベースになるのに対してバクダン釣りでは、黄土や赤土が使われます。
この2つの釣り方は、細かい点に違いは見られますが、釣り方の基本となる部分は似通っています。
その理由は、バクダン釣りのルーツは紀州釣りにあると言われているんですね。
では、それぞれの釣り方を見てゆきましょう。
紀州釣りは歴史がかなり古く、江戸時代、紀州徳川家の頃から紀州半島の紀北を中心に行われる様になったそうです。
エサ取りの多い夏場に行われる釣り方ですが、基本は刺し餌をダンゴで包み込み、エサ取りから刺し餌をガードしてチヌのいる所に送り届ける釣り方です。
そうして基本は玉ウキでのウキ釣り仕掛けで釣ります。
さらに、釣り方としては、基本パターンとして2つに分かれます。
1つは、ウキ下をタナの深さよりも浅めにします。
これが、いわゆる一般的なスタイルですね。
もう1つは、ハリスから下、つまり餌を海底にはわせる釣り方です。
要は、ウキ下をタナと同じ長さを基本にして、その時の釣り場やチヌの状態によって、ウキ下の長さを調整する訳ですね。
この合理的な発想は、時代の流れや釣り具の進歩により多少の進化を繰り返し現在に至っている、長い歴史に裏付けられた伝統的な釣り方なんです。
その長い歴史の中で、紀州釣り四十八手と言われる程多くのバリエーションに枝分かれしているのです。
バクダン釣りは、岡山、広島、香川などの瀬戸内一帯で盛んに行われる伝統的な釣り方です。
紀州釣りが玉ウキ使用のウキ釣りに対して、棒ウキ使用のウキ釣りとウキを使用しないぶっ込み釣りの二通りの釣り方が基本なんです。
筆者が釣りを始めた頃は、この二通りの釣り方は、地域によってどちらが主流かが違うと言われてました。
香川県ではぶっ込み方式、岡山県や小豆島では、ウキ釣り方式が主流だと言われてました。
それぞれに分かれた理由を考えると、地形の違い、水深の違い、潮の流れ方の違い、釣れるサイズの違いなどの各種の条件に合わせて独自に進化したと言えるのではないでしょうか。
これら2つの釣り方の特徴を踏まえて、自分の行く釣り場条件にあった釣り方を選択してゆくのも面白いのではないでしょうか。
初心者必見!海川釣り 防波堤(波止)のチヌ 紀州釣りとバクダン釣りの肝 ダンゴを使った釣り方

ダンゴ釣りは、海底に到着したダンゴが割れて、刺し餌が顔を出した瞬間にアタリが出る事が多いです。
よって、その瞬間を見極める為に必要なのが、ウキの役割なんですね。
ウキ下をタナよりも短めに設定するのは、ダンゴが割れたのを察知しやすくする意味もあります。
そもそも、タナよりも短めにウキ下を設定すると、仕掛けを投入してダンゴが着底すると、ウキは沈んでしまいます。
そして、ダンゴが割れるとウキは水面に浮かんで来ます。
そうする事でダンゴの割れを察知する事が出来るんですね。
一方、ウキ下をタナより深めにして、海底にはわせる場合は、ダンゴが着底しても、ダンゴが割れても、ウキに変化はほとんどありません。
ですが、ベテラン釣り師の方は、それでもわずかな変化を見極めてしまいますが、ビギナーの方にはなかなか難しいと思います。
なので、最初はウキに変化が出にくく分かりずらいはわせるパターンよりも、ウキ下短めパターンで慣れて方がお勧めです。
そうするうちに、わずかなウキの変化を感じ取れる様になってからはわせるパターンもやって見ると良いのではないかと思います。
紀州釣りにしてもバクダン釣りにしても、ビギナーの方が頭を悩ませるのがダンゴ作りなのではないでしょうか。
なぜならば、ベテランになればなるほど、このダンゴ作りにこだわりを持つからです。
ベテランの方は、より効果的なダンゴを追求して、混ぜ物の内容、水加減、練り具合、ダンゴに握るサイズや硬さなどの細かい事にこだわります。
しかし、これは経験豊富なベテランの方が自分の釣りをさらに進化させてゆく意味合いなので、ビギナーの方はまず経験を積む事を重視して最初はシンプルなダンゴで良いかと思います。
慣れてくると必然的に自分なりのこだわりが大なり小なり生まれてくるものですから。
刺し餌については、各地で様々な餌が使用されます。
一般的に多く使われるのは、オキアミでしょうか。
他には、虫エサ(ホンムシ、アオイソメなど)、ボケ、サナギ、アケミ貝、コーンなどですね。
紀州釣りとバクダン釣りのシーズンは初夏~秋口です。
この時期は魚そのものの活性が高く、エサ取りが多い時期なんです。
そんな中でのダンゴを使用する利点を見てみましょう。
・ダンゴの利点
・濁り
チヌはもともと濁りを好む習性があります。
ダンゴが海中を沈んでゆく途中で溶けて出る濁りはチヌの好奇心を誘います。
・食欲を誘う
ダンゴに集魚剤などを混ぜ合わせる事でチヌの食い気を誘います。
・刺し餌のガード
刺し餌をダンゴで包み込み、エサ取りが多い時期でも確実に刺し餌を海底まで届けてくれる。
・一か所に寄せる
一か所に集中してダンゴを投入する事で、チヌをその場に寄せ付ける事が出来ます。
多くのチヌが集まると、数釣りも可能です。
初心者必見!海川釣り 防波堤(波止)のチヌ 紀州釣りとバクダン釣り タックルとその他の装備

基本的には、紀州釣りとバクダン釣りで違いはありません。
しかし、地域によっては使用する竿も細分化されている様です。
一般的に防波堤(波止)で釣れるチヌは40㎝位までと想定した時に、磯竿の1号で長さは4.5~5.3ⅿで先調子のものが扱いやすいですね。
尚、竿選びで重視したいのは、一日中手持ちで、さらにダンゴの打ち返しを重視した時に、持ち重りしないものが良いかと思います。
また、障害物が多い場所や50㎝級の大物が出る様な釣り場では、サイズアップした方が良いかもしれません。
リールは、小型~中型のスピニングリールが一般的です。
竿との相性も考えて、竿にセットした状態で持ち重りしないか、アワセはやりやすいかなどチェック出来ると良いですね。
何よりも、自分にとって扱いやすいかどうかが一番大事なのかなと思います。
リールにセットするラインは3号を基本として、大物狙いなら4号と太めにしたり、遠いポイントを狙う事が多い釣り場なら、2~2.5号と細めにするのがお勧めです。
ハリスは、釣り場で釣れるチヌのサイズに合わせて、1~2号と選択するのが良いかと思います。
大物狙いや、海底をはわせる場合は、3号と太めがお勧めです。
底を這わせると、どうしても傷が付きやすいので、太めにするのが安心です。
ハリはチヌバリ2~3号が適当かと思います。
オモリは使うウキの種類で違ってきます。
紀州釣りは管付きの玉ウキが一般的に使われますが、この場合ダンゴでウキを沈める釣り方なので、オモリは使用しない事が多いです。
また、ハリスにもオモリを打つ事もないので、基本的にはオモリを使うことはないですね。
一方、バクダン釣りでは、棒ウキが主流なので、ウキ調整用のオモリは必須です。
管付きオモリの1号前後が一般的に使われます。
オモリは、ウキのオモリ負荷が1号ならば、0.8~1.2号の幅を持たせて用意しておくのが、釣り場やチヌの状況変化に対応出来て良いかと思います。
ウキは、基本的には紀州釣りで玉ウキ、バクダン釣りでは棒ウキとご紹介しましたが、釣り場の状況によっては、玉ウキと棒ウキどちらを選択しても良いと思います。
そもそも、紀州釣りが玉ウキ主流なのは、紀州地方では波立つ状況が多く、また、バクダン釣りが棒ウキ主流なのは、瀬戸内では波静かな状況が多いからです。
逆に言えば、その日の釣り場の状況によって、有利なウキを選択するのが良いと思います。
初心者必見!海川釣り 防波堤(波止)のチヌ 紀州釣りとバクダン釣り 概要解説 まとめ

今回は防波堤(波止)のチヌ釣りの中から、紀州釣りとバクダン釣りの概要を解説しました。
歴史のある伝統的な釣り方の中でも、全国的に知られている釣り方なので、自分の地域でも十分通用すると感じさせてくれる魅力的な釣り方でしたね!
では、今回はここまでです。

