今回は釣り初心者の方に向け自然現象についての解説です。
海川釣りに行き、自然の中に身を置くに際して是非知っておいて欲しい事ですね。
しかしながら、自然現象といっても色々あります。
その中でも今回は、「潮汐」「潮回り」「波」「天気」「明暗」「水温」の6つについての解説です。
この6つの要素を詳しく知ることでその日の釣果にも影響するし、ひいては自身の安全にも関わってきます。
では、順番に見てゆきましょう。

初心者必見!海釣り「潮」解説
・潮汐(ちょうせき)とは?
潮の流れには干潮と満潮というリズムがあります。
このリズムの事を「潮汐(ちょうせき)」というんですね。
潮汐は最もシンプルにいうと、月と太陽からの影響によって起こる現象です。
地球から見て月のある面では、月の引力の影響で海水が引かれて海面がもりあがる。
これが「満潮」ですね。
その反対側、地球の裏側ではどうでしょうか?
月から最も離れた面なので、満潮にはならないと思いがちですが、こちらも満潮になります。
理由は、地球が月との共通の重心を軸として回っている事で起こる「遠心力」が強くなる事で海面が盛り上がり満潮になるんですね。
この満潮となる2つの面から90度の左右の面では、満潮となる面に海水が流れてゆく為海面が下がる。
これが「干潮」です。
地球は1日に1回自転するので、普通は干潮と満潮は1日2回ずつ起こることになります。
そして、この干潮、満潮が訪れる時刻ですが、毎日50分ずつずれてゆきます。
これは、月の公転が地球の自転の時間とずれている為なのです。
さて、これらをふまえて実際の海に目を向けてみましょう。
地球上の海は、全て同じ水深、同じ形の海岸ではありません。
よって、水深や地形、月と太陽の関係など様々な要因が複雑に絡み合い色々な事が起こるんですね。
さらに、地球に対する月と太陽の影響力は、月の100%に対して太陽は46%と言われています。
この月と太陽の影響力の差も様々な現象の要因の1つなんです。
代表的な現象としては以下の通りです。
・干潮、満潮の到達時間に各地でズレがある。
これは、地球上における海と陸の分布や海底の地形、海水と海底の摩擦抵抗、海水同士のぶつかり合いなどが影響するからです。
さらに、月の公転のズレも関わってきます。
・同じ干潮、満潮でも日によって潮位に差がある。
これを「日潮不等」といいます。
一番大きな要因は、潮の流れ方に種類があるという事です。(これは次で詳しく解説しますね。)
「日潮不等」ですが、一番極端な例として、干潮、満潮が1日にそれぞれ1回しか来ないという日があります。
・潮廻りとは?
潮の動き方には種類があると先にお伝えしました。
ここで、その種類について見てゆきましょう。
5種類の潮廻り
・大潮(おおしお)
最も潮の流れが大きく、干潮から満潮の潮位差も最も大きい。
・小潮(こしお)
大潮とは逆に、潮の流れが小さく、干潮と満潮の潮位差も小さい。
・中潮(なかしお)
文字通り、大潮と小潮の中間にあります。
・長潮(ながしお)
潮の流れは小さく、干潮と満潮の潮位差は一段と小さくなる。
・若潮(わかしお)
長潮の翌日にあたり、潮の流れと干潮と満潮の潮位差も徐々に動き出す。
潮廻りのメカニズム
これは簡単に言えば、月と太陽の位置関係によります。
地球と月と太陽が一直線に並ぶ状態が2回あります。
月が地球と太陽の間に来た時、月が地球の反対側に回った時ですね。
この時、月と太陽の影響が重なり合って強くなります。
それにより海面が大きく盛り上がる。
これが大潮です。
月と太陽の影響が一番強いので、潮の流れが強く、干満差も大きくなるんですね。
対して、月が左右90度の位置に来た時。
月と太陽の影響力が互いに打ち消し合う最大の時です。
この時が小潮です。
さらに、上記2つのパターンで徐々にそれぞれの位置に移動する期間があります。
その期間に、中潮、長潮、若潮になるんですね。
日潮不等
先に述べましたが、極端な場合、干潮と満潮が1日に1回しか来ない状態。
春と秋の小潮のとき。
夏と冬の大潮のとき。
この時に1番大きく起きます。
春の大潮「分点潮」
釣り人の間で「春の大潮は良く引く」と良く言われます。
これは、どういう事なのでしょうか?
この春の大潮は「分点潮」と呼ばれ、1年で1番潮位差が大きくなる潮なのです。
先に述べた日潮不等が非常に小さいときなので、潮が引くときは確実にしっかり引き、満ちる時はしっかり満ちるのです。
よって、この時期は、普段は水没している磯などに渡れるチャンスなのです!
有名なのが、長崎県 男女群島にある畑曽根という離れ岩礁ですね。
この時期の引き潮の時にしか渡れないけれど、イシダイなど大物が狙える超優良ポイントなんですよ!
ちなみに、この状態は秋の大潮の時にもおこりますよ。

初心者必見!海釣り「波」解説
次は「波」についてです。
まず波はどうして起きるのでしょうか?
陸で釣りをしていると、良く船が通過しますが、通過しきった後で波が押し寄せてきます。
しかし、ここでは自然現象がテーマなので、それは置いておきましょう。
最も大きな原因は「風」による影響です。
・波高と波長
どちらも波の大きさを表す言葉として釣り人にはお馴染みの用語ですね。
波高とは?
波には盛り上がった山の部分とへこんだ谷の部分があります。
この谷から山までの高さを波高といいます。
波長とは?
波高の谷から谷、山から山までの長さを波長といいます。
次から次へと押し寄せる波の山を100個を取って、波高の高いものから33個を平均したものを「有義波高」といいます。
これに様々な要素を組み込んで天気予報で最大波高を導き出しているんですね。
組み込む要素には気圧配置など色々ありますが、最もおおきなウェートを占めるのが風です。
・風と波
風と波はほぼ対応していると考えられます。
と言うのも、風が強くなればなる程波は高くなるからです。
波頭に白いしぶきが立ち始めるのが、風速毎秒10m。
この時の波高は2mになります。
風速が20mになると、波高は一気に6~7mにもなります。
つまり、風の強い日の海釣りは要注意ですね。
長く釣りをやられている方は1度は経験があると思いますが、筆者も、防波堤や磯で頭から波を被った経験があります。
・ウネリとは?
よく波と混同されがちですが、本質的に違います。
波が大きくなったからといってウネリになるのではありません。
洋上の低気圧や台風によって作られて、それが伝播してきたものをいいます。
低気圧や台風が太平洋の南方にあったとしても、日本列島に押し寄せて来るので恐ろしいです。
よく、北緯20度線を越えると要注意と言われています。
波とウネリ、両方を合わせたものが天気予報で波高として発表されます。
最後に、釣り人として注意してゆきたいのは、沖合いよりも海岸沿いの方が波高が高くなるということです。
釣行前にはしっかりと天気予報をチェックしておきたいものです。
初心者必見!海川釣り「天気」解説

ここでは天気についての解説をやっていきます。
天気も釣行において、重要な要素の1つです。
何よりも、釣りそのものが自然の中での行為である以上絶対見逃せませんよね。
快適な釣りを行う為に、そして自身の身を守る為に知識を持っておきましょう!

初心者必見!海釣り「明暗」解説

ここでは明暗についての解説です。
明るいか、暗いかの違いで魚の動きに変化があるのか?
そして、釣果への影響は?
そんなところをお話ししてゆきますね。
地球上に生きる生物のほとんどが日の出から日の入り、つまり太陽の動きを基準にしてます。
陸上、水中に関わらず野生生物はみなリズムを刻んで生きています。
その中で日中に活動するか、夜間に活動するかの違いがある様です。
それを昼行性、夜行性と呼んでいます。
では、魚に当てはめて見てゆきましょう。
魚もやはり昼行性と夜行性はあります。
ただ、一部の魚はどちらにもよらずに一日中活動するものもいます。
大多数の魚は昼行性の様です。
昼にせよ、夜にせよ、活動しない時間帯は物陰や砂の中に身を潜めて休む様です。
昼行性で夜に身を休める事で特徴的な魚にアオブダイがいます。
夜になると安全な場所で、口から粘液を出して寝袋の様な物を作り、その中で休む事が確認されてます。
夜行性と言われるメバルやアナゴなどは、日中は砂の中や岩陰に身を潜めて、夕暮れ時になると活発に活動を始めます。
朝になり明るくなると再び身を休めのですね。
カツオやマグロなどの回遊魚は一日中泳ぎ続ける事で知られていますが、夜休む時はどうするのでしょうか?
体を休める時間帯ではほとんど捕食活動をしない様です。
一応、魚の行動において昼夜の違いをお話ししましたが、それぞれ休むであろう時間帯に全く釣れないと言う事はありません。
例えば、昼行性と言われるクロダイやスズキは夜釣りでよく釣れる事が知られています。
夜行性と言われるアナゴは雨や曇りで薄暗い日や潮が濁っている時などに釣れる事があります。

昼行性のシロギスも満月の夜に大型が釣れる。と、釣り人の間で言われています。
昼行性の魚は、種類が多い事もあり、食性も様々です。
対して夜行性の魚は、その釣り方や仕掛けを考えたときに肉食性の魚が多い気がします。
では、夜暗い中でどうやってエサを見つけるのでしょうか?
一般的には、昼行性の魚は目が良く、夜行性の魚は嗅覚が優れていると言われているんですね。
いわゆる明暗とは少し外れるかもしれませんが、日中の釣りでも良く晴れて、水が透き通っている状態の日よりも曇っていて水に濁りがある状態のひの方が良く釣れる様な気がします。
これは、釣行を重ねた釣り人ならかなりの方が経験されているのではないでしょうか?
おそらく、魚の警戒心が緩むからだと言われています。
結局のところ、昼行性、夜行性と人間が勝手に分類しているだけで、当の魚たちはその種類ごとに優れた機能を有し、昼だろうと夜だろうと関係ないのかもしれませんね(笑)
マズメ時とは?
朝の日の出前後、夕方の日没前後の時間の事を言います。
1日の内で最も食いが立つ時間とされています。
なぜでしょうか?
昼行性の魚と夜行性の魚が、活動時間を入れ替わる時間です。
朝マズメでは昼の魚が動き出し、夜の魚が休みに入る頃合いです。
昼の魚は、今まで休んでいて空腹。
夜の魚は今まで泳ぎ廻り、休みに入る前の最後の捕食チャンス。
夕方のマズメ時では、昼夜逆パターンとなります。
この事から昼夜双方の魚たちが捕食活動状態にある事で全体的に食いつきの良い状態となるわけです。
初心者必見!海川釣り「水温」解説

そもそも魚は変温動物(両生類、は虫類と同じく水温の変化に伴い体温が変化する)です。
よって、水温が高すぎても低すぎてもダメで生きてゆけません。
このことから魚種によってそれぞれ適した水温の範囲が決まってます。
その為、必然的に生息範囲(分布範囲)が決まっているんですね。
変温動物である魚は、環境内の水温と同じ体温を維持しています。
適温範囲内において、水温が高ければ活発になり、水温が低ければ動きも鈍くなります。
捕食するエサの量も、捕食後の消化時間も水温に影響を受けます。
高めの適水温の魚は、冬場の水温が下がる時期は活動が鈍くなる。
低水温に耐えられない魚は水温の高い水域に移動してゆきます。
同じ釣り場でも水温の変化により全く釣れなくなることもしばしばあります。
つまり、他の要素と同じく水温もまた釣果に影響を及ぼす重要な条件だと言えるでしょう。
先にお話しした通り、魚には適水温があります。
その範囲外では生きてゆけない為、水温の変化と共に適水温を求めて回遊します。
これを適温回遊といいます。
多くの魚が水温が下がる晩秋から冬は深場に移動し、水温が上がる春からは浅場に戻り活発に動く様になります。
この移動では産卵を行う魚種も多く、釣りの読み物で「産卵のため浅場へ移動~」というのを今後よく目にする様になると思いますが、それが適温回遊なんですね。
まとめ
今回は「潮汐」「潮廻り」「波」「天気」「明暗」「水温」の6つについて解説してきました。
いかがでしたでしょうか?
これらの条件を全て味方に付ければ素晴らしい釣果につながるかと思います。
では、今回はここまでです。
失礼します。