前回の記事では棲息(分布)習性、行動習性について解説しました。
今回は摂食習性および産卵習性について解説してゆきます。
初心者の方が海や川の魚たちの習性について知る事で、より楽しい釣りに繋がれば幸いです。
では、順番に見てゆきましょう。
初心者必見!海川釣り魚の食習性

ここでは、魚のお食事事情についてです。
大自然の中で、野生生物である多くの魚は弱者を食べ、より強者に食べられる。
そんな食の事情を抱えながら日々をたくましく生きているわけですね。
まずは、そこのところから見てゆきましょう。
食物連鎖とは?
水中に生きている多くの生物の間には様々な相互関係やそこから発生する相互作用があります。
ある生物が別のある生物に食べられ、さらに別の生物に食べられる。
この関係性がいわゆる食物連鎖と言われています。
例えば、海です。
植物性プランクトン→動物性プランクトン→イワシやアジなど小魚→サバなど中型魚→ブリ、カツオ、マグロなど大型魚。
という食物連鎖が出来ていますね。
次に淡水です。
植物プランクトン→動物プランクトン→ワカサギ→ナマズ、ウナギなど。
という食物連鎖。
しかしながら、これは単なる1例に過ぎません。
実際の自然の中での食物関係は単純で直線的なものではありません。
例えば、下記の様なものもいます。
・植物プランクトンを直接利用する、大型魚ハクレン。
・岩に付着している藻類を食すアユ。
・食物の選択範囲の広い雑食性の魚たち。
これらの魚たちが魚食魚に食されるという具合に、その環境ごとに複雑な連鎖を構成しているんですね。
実際の水の中ではそれぞれの連鎖が複雑に絡み合い網目を構成してます。
この様な網目構造の状態を「食物環」といいます。
そもそもの水中における「第一次生産者」は各種の水生植物です。
水中に溶けている栄養分と太陽エネルギーを利用して有機物を作り出します。
それにより第二次、第三次生産者である動物群の食物の基盤、つまり大元となっているんですね。
魚は一生の内に体のサイズも変わり、過ごす環境も変わったりします。
そういった各魚種ごとの都合により食性も変化するわけですね。
魚食魚も稚魚の時はプランクトンを食します。
プランクトン食の魚も時に小魚を食すことも。
例えば、下記の様なものがあります。
・マグロは典型的な魚食魚ですが、幼魚時代はプランクトンを食べます。
・マイワシは成魚になると、シラスを食べる。
・ヒメマスはプランクトン食ですが、大型のものは小魚を食す。
・ワカサギもプランクトン食ですが、アカムシ(ユスリカの幼虫)なども食します。

ワカサギ釣りでは、アカムシやサシなどをえさに使いますからね。
先に述べた様な事なら、魚たちの食性の区分はどう線引きするのか?
それは、おのおのの魚が生涯の大半に何を食べているかで決まります。
よって、先の例の様にマグロをプランクトン食の枠に入れたり、マイワシを魚食魚の仲間に入れたりする事はないんですね。
淡水魚
ブラックバス、ブラウントラウト、ライギョなど。

肉食魚の中でも専ら魚を食べるものは魚食魚(フィッシュイーター)と呼ばれます。
一般的に口が大きく、歯が鋭く、目が良い傾向にあります。
初心者必見!海川釣り魚の成長過程での習性変化

他の様々な動物たちと同様に、魚も発育の初期であるふ化後はしばらくゆっくりと成長する。
そして、次第に成長速度は早まりある程度大きくなると再びゆっくりとなります。
発育は様々な環境条件によって左右されます。
特に水温とエサの2つの条件による影響が大きい。
活動適水温の範囲内ならば、水温がより高い方がエサを良く食べる為成長速度も早くなるのですね。
一般的には、肉食性の魚の方が初期の成長は早いと言われています。
ブリを例に見てみましょう。
・ふ化後3~4ヶ月 12㎝以上
・1年で30㎝
・2年で50㎝
・3年で60㎝
・4年で70㎝
・5年で80㎝
というふうに、ドンドン成長してゆくんですね。
魚は、成長過程においてその体型や色彩が変化します。
変化の内容や程度は魚種によって様々です。
いくつか例を見てみましょう。
・サヨリ
成魚は、両アゴがくちばし状に長く伸びているのが特徴です。
仔魚の間は、他の魚と同じ様に普通の形状のアゴなんですね。
・カレイ、ヒラメ
仔魚の間は両目が左右に付いてます。
成魚になると両目共に上部になります。
・サケ、マス類
稚魚は体側面にパー・マークと呼ばれるだ円形の斑紋があります。
成長過程でそれは薄くなります。
そして、海に降りる頃になると消えてしまいます。
食性も成長過程で変化を見せる。
例をみましょう。
・アユ
稚魚は動物プランクトンを食べています。
遡河してからは、岩に付着している藻類を食べます。
・魚食魚
初めは動物プランクトンを食べます。
成長すると、しだいに肉食になってゆきます。
魚は、成長過程において棲む場所を変えてゆきます。
内湾の藻場は、様々な魚種の稚魚が集まってくる。
ここは稚魚にとってはエサ場であり、隠れ場所であり、とても良い棲み家です。
藻場の中では、バクテリア→原生生物→大型動物プランクトン→幼魚という生態系が成り立っているんですね。
同じ様に、潮目に漂っている流れ藻場も稚魚の良い棲み家です。
ブリ、カンパチ、シイラなどの稚魚が集まってます。
藻場や流れ藻についていた稚魚は、一定の大きさに成長すると沖合に分散したり、磯に定着したり、様々に分かれてゆきます。
以前に解説しましたが、成長により棲み場所を変える代表格はサケ、マス類です。
淡水域→海洋→淡水域と大移動を行うのでしたね。
ここでは、サクラマスの例を見てみましょう。
・サクラマス
・春先にふ化する。
・3~4㎝位になると浮上し遊泳を始める。
・川の中で水性昆虫を食べて、夏頃には10㎝位に成長する。
・1年(個体によっては2年)の淡水生活を経てパー・マークが消えたものは降海してゆきます。
いわゆる銀毛ヤマメです。
・海に出るとコウナゴなどの小魚を食べて成長してゆく。
・翌春には12~18㎝位になる。
・秋には30~35㎝程になります。
魚には成長の過程で呼び名が変わるものがいます。
ブリ、スズキ、ボラなどですね。
例を見てみましょう。
・ワカシ(ワカナゴ)→イナダ→ワラサ→ブリ
・コッパ→セイゴ→フッコ→スズキ
初心者必見!海川釣り魚の産卵

魚は、一部の魚種を除き大多数が産卵します。
しかし、その産卵場所は魚種により様々です。
多くの魚のはじまりの前段階である産卵には大自然の営みを感じますね!
では、産卵のタイプの違いを見てみましょう。
・浮性卵
イワシ、サバ、カツオ、タイなど
・沈性卵
サケ、マス類
・粘性卵
ニシン、アユ、コイなど
・ネンブツダイ
メスの口の中でふ化する。
・タナゴ
二枚貝の中に産みつける。
・トミウオ
巣の中に産みつける。
こうして見ると、魚種により様々ですよね。
自然界における魚たちの生き残り戦略を感じますね!
魚たちは1回の産卵でどのぐらいの卵を産むのでしょうか?
一般的には、浮遊性卵が1番多いと言われています。
一般的な釣りの対象魚ではありませんが、1番数が多い例としては、マンボウの2億粒ですね。
次いで多いのが粘性卵です。
ニシンは約3万粒と言われています。
そして1番少ないのが沈性卵です。
サケ、マスは4千~8千粒と言われていますね。
この産卵数の違いは、それぞれの産み付け方に理由がある様です。
1番多い浮性卵は水の表層に産み付けられ、その後は波にまかせて漂います。
それゆえ、生存率から言ってより多くの数を必要とするわけですね。
では、1番少ない沈性卵だとどうでしょうか?
サケ科のイワナを例に見てみましょう。
イワナは川底に深さ5~10㎝、広さ20~30㎝産卵床をつくります。
守られてるのですね。
ふ化までの期間は魚種により様々です。
一般的には水温が低いと時間がかかり、水温が高いと早くふ化する様です。
・マダイ、ヒラメ 2日前後。
・ニシン 1週間前後。
・サケ 7週間前後。
ふ化後、生活をスタートさせるために必要な時間が魚種により様々みたいですね。

魚の中には、産卵後ふ化するまで親が卵を守り、世話をする種もいますよ。
まとめ

さて、今回は摂食習性と産卵習性について解説しました。
いかがでしたでしょうか?
これらの習性も魚の種類によって色々でしたね。
では、今回はここまでです。
失礼します。