
今回は海川釣り対象魚たちの習性についてです。
習性といっても様々ありますが、こちらではいくつかのテーマに絞ってお伝えしてゆきます。
これから釣りを本格的に始める初心者の方に参考にして頂けると幸いです。
そもそも釣りとは魚をゲットする行為であるので、その対象となる魚の事を知る必要があります。
「敵を知り己を知らずんば百戦危うからず」ですね!
では、順番に見てゆきましょう。
初心者必見!海川釣り対象魚の習性
そもそも自分がこれから釣ろうと思うその魚種はどこにいるのか?
海もしくは淡水の川など、ということは分かる。
ただ、それらの場所の具体的にどこに狙いを定めればよいのか?
様々な魚種の棲息範囲の習性を知る必要があります。
次に釣りの基本としてエサやルアーなどで魚を引き付ける。
という事は、まず摂食習性を知らねばなりません。
さらには、魚達自体の行動習性。
せっかく海や川へいって竿を振っても、ポイントからずれた場所をいくら攻めても何にもなりませんからね。
子孫を残す為の産卵から、生まれて成長してゆく過程での魚種ごとの特殊な習性。
などなど様々な習性を知る事で満足のいく釣果につながる様にしてゆきましょう。
初心者必見!海川釣り棲息範囲(分布)習性

日本近海では、日本海側と太平洋側にそれぞれ海流があります。
主に南からの暖流と北からの寒流と2種類ですね。
太平洋側では日本海流、いわゆる黒潮と呼ばれる暖流が南から北上し、北からは千島海流いわゆる親潮と呼ばれる寒流が南下してます。
日本海側では黒潮から分かれた暖流の対馬海流が北上して、寒流のオホーツク海流が南下している。
よって、暖流と寒流それぞれの海流に適した魚種が回遊したり、定着してます。
一般的には暖流系の魚は南方に多く、寒流系の魚は北方に多い。
そんな暖流と寒流がぶつかる境界線は、太平洋側では銚子沖近辺と言われています。
暖流系の魚
沖の回遊魚 マグロ、カツオ、カジキ、ブリ、カンパチ、など。
沿岸の回遊魚 アジ、サバ、イワシ、など。
磯の魚 イシダイ、クエ、シマアジ、イスズミ、など。
寒流系の魚
回遊魚 ニシン、サケ、マス、など。
低層魚 タラ、ホッケ、カレイ、など。
広範囲に分布する魚
マイワシ、マダイ、サバ、ブリ、ヒラメ、など。
特にマダイは北海道南部から九州までと範囲が広いですね。
浅い近海の表中層の魚
フグ、クロダイ、ブダイ、イシダイ、など。
浅い近海の下層の魚
アイナメ、ベラ、メバル、カサゴ、など。
汽水域の魚
ハゼ、ボラ、サヨリ、スズキ、など。
外洋の表層の魚
イワシ、サバ、カツオ、マグロ、などが群泳。
外洋の深部の魚
タラ、スケトウダラ、など。
深海の魚
チョウチンアンコウ、など。
いわゆる深海魚ですね。

浅海と深海の境目は、海岸から深さ200mまでを大陸棚といいます。
それより深くなると深海ですね!
海水魚の生息(分布)範囲については、一概には言えないことも多いですが、おおよその分類として以上の様になります。
淡水魚の生息(分布)範囲は、比較的はっきり棲み分けがなされている様です。
主に源流~渓流、上流~中流、下流~河口、山間部の湖沼、平野部の湖沼に分けられます。
源流~渓流の魚
水が澄んでいるこの水域では、主にサケ科の魚が多い。
イワナ、ヤマメ、アマゴ、など。
上流~中流の魚
瀬や淵があり、川底は変化に富んでいて魚の居場所が多い。
それゆえ、渓流部よりも生息魚種も多い。
オイカワ、ウグイ、アユ、ニゴイ、など。
下流~河口の魚
海の潮の影響を受け、上げ潮の時は海の魚の一部が上ってきて、下げ潮の時は上流部の魚が下ってくる。
それゆえに魚の種類が最も多い水域です。
コイ、フナ、ナマズ、ウナギ、ソウギョ、マハゼ、ボラ、スズキ、など。
山間部の湖沼
水深が深くて水温が低い、栄養要素が乏しいところと、水深が浅く栄養要素が豊富なところがある。
レイクトラウト、ブラウントラウト、ニジマス、ヒメマス、ワカサギ、ブラックバス、など。
平野部の湖沼
水深が浅く、栄養要素が豊富なところが多い。
フナ、コイ、タナゴ、モツゴ、モロコ、ヒガイ、ナマズ、ライギョ、ブラックバス、など。

琵琶湖の魚。
言わずと知れた日本一の大湖ですね!
成り立ちも古いので、独特な種類の魚が生息してます。
中でも琵琶湖大ナマズは有名ですよね!
*同一種の棲み分け
フナを例にしてみましょう。
フナには主に3種類おり、それぞれ活動域が違います。
キンブナ 底部で昆虫や小型の貝類、藻類などを食す。
ゲンゴロウブナ 表層で植物プランクトンを食す。
ギンブナ 他の2種の中間。
(ヘラブナもいますが、フナから人工的に飼育された種なので、ここでは省きます。)
次にヤマメとアマゴを見てみましょう。
ヤマメはサクラマスの陸封型。
アマゴはビワマスの陸封型。
と言われています。(学術的には異説あり)
それぞれ日本国内で生息地域が分かれてます。
ヤマメ 北海道、東北、関東、北陸、山陰、九州の大半に分布。
アマゴ 東海、近畿、山陽、四国、九州の大分近辺に分布。
大島ラインとは?
ヤマメとアマゴの生息境界線のことをいいます。
おもしろいのは、神奈川県の酒匂川はこの境界線上に位置しています。
結果、酒匂川の各支流ごとに棲み分けされてました。
富士山に源を発する支流にヤマメが棲み、箱根山からの流れにはアマゴが棲む。
と言われています。

筆者が釣りを始めた頃、上記の様に知識を得ました。
が、それから40年以上が経過し、現在の現場では何かしらの変化もあるかもしれませんね。
初心者必見!海川釣り対象魚の行動習性、回遊と定着

ここでは、魚の行動に関する習性についてです。
魚の基本行動パターンとして回遊と定着の2つが挙げられます。
簡単に言うと、回遊は泳ぎながら様々な地域へ移動してゆき、定着は1つの場所に居続けるという事ですね。
では、それぞれ見てゆきましょう。
この回遊行動については、魚たちそれぞれが持つ動機によりいくつかのパターンに分かれます。
産卵回遊、生育回遊、エサを探す回遊、季節による回遊、大まかにこの4つですね。
それぞれ解説してゆきます。
・産卵回遊
産卵期が近ずくと多くの魚種がそれぞれに適した産卵場を求めて移動、回遊します。
この場合の回遊には3つのパターンがあります。
1つは陸から離れた場所に産卵場を求めての回遊。
これには、ウナギなどが当てはまります。
2つ目は、逆に陸へ近ずく回遊。
これには、ニシンやサンマなどが当てはまります。
3つ目は、河川と海を回遊するケース。
これは、3つの型に分かれます。
・河川を遡る型。サケやマスなど。
・河川を下る型。ウナギなど。
・河川と海両方回遊する型。アユ、ハゼなど。
・生育回遊
多くの魚種が産卵場と本来の棲息場所は異なります。
藻場に集まる稚魚のほとんど、河川で育ってその後海へ降るサケやマスもそうですね。
・エサを探す回遊
エサの多い場所を求めて行う回遊。
プランクトンを求めて回遊するイワシなどの小魚。
そのイワシの群れを追うマグロやカツオなどの大型魚。
・季節による回遊
季節の移り変わりによる水温の変化で、より快適に過ごせる場所を求めて行う回遊。
その為、適温回遊とも言われます。
回遊する魚の中でも、最もその回遊性が高いのが中層を泳ぐ魚です。
代表的なのは、マグロ、カツオ、ヒラマサ、カンパチ、ブリ、サンマ、ボラなどですね。
中でも最も大規模な回遊を行うのがサケです。
ここでは、このサケを例に回遊の仕組みとメカニズムを見てゆきましょう。
サケの大回遊
まずサケは、川や湖でふ化します。
やがて川を下って海に出る。
海に出ると、回遊しながら成長、成熟してゆきます。
そして、産卵の為川を遡ります。
これが、基本の回遊行動です。
具体的には、本州、北海道、南サハリン、千島の各河川で生まれます。
そして、北太平洋をカナダ沿岸付近まで行き、カムチャッカ半島沿いに戻ってくる。
一部はサハリン方面まで回遊する群れもあるそうです。
こんな大回遊を終えたサケが河川に戻る際には、適当に戻る河川を選んでいるのではない様ですね。
不思議なことに、サケはかなり正確に自分が生まれた河川(母川)に戻って来ます。
調査によると、その帰還率は98%もの高確率の様です。
川を下る回遊から外洋の回遊、そして海から河川へ遡る回遊と大回遊を行うサケですが、どうして正確に方向が分かるのでしょうか?
専門家の研究によると、川を下るサケには体内時計と太陽の動きを感じ取りコンパスとする感覚が備わっているとの事です。
つまり、この時刻には太陽がどの方向にあるかを感じ取る事で方向を判断しているそうです。
さらに、サケは太陽光線の中の偏光を感じ取ることが出来る事により曇りでも太陽の動きを察知し方向を知る事が出来ると言われています。
そして、最後の決め手。
沿岸までたどり着いたサケが多くの河川の中から母川を探し出すのに頼りにするのが嗅覚です。
ふ化後、幼い時期に過ごした川の臭いを刷り込まれて海に出た後も記憶していて、沿岸に戻った時に記憶していた臭いに刺激を受けて母川を識別するのです。
何だか、本当に壮大なお話しですよね。

サケは一生で数千㎞もの距離を回遊するんですね!
回遊まとめ
サケを例にしましたが、これにより回遊魚の方向認識にいくつかの要素を見出す事が出来ます。
・太陽やその偏光を感じ取る。
・海流の進む方向。
・均一条件の水塊に乗る。
・敵水温を求め移動。
・エサを求めて移動。
これらの要素を総合的に駆使する事で、回遊魚たちは方向を判断しているんですね。
次は回遊に対して対極である定着についてです。
定着といっても、生まれてから生涯同じ場所に居続けるというわけではありません。
少し厳密に言うと、ほとんどの魚種で多少の移動は行われます。
よって、移動期間と移動期間の合間の期間に定着しているというイメージですね。
いくつか例を上げます。
・ウナギは成熟期までは定着します。
・サケ、マスの稚魚は降海型になるまでは河川内にとどまる。
・ブリは稚魚のうちは流れ藻にひそんでます。
・いわゆる回遊魚であるカツオでもエサの多いエリアにたどり着くと、その付近にとどまり「根付きカツオ」と呼ばれる事もある。
この事から定着は、一生の内にその期間が長い魚種が定着性の魚と分類される様です。
そうすると、海の磯にいる魚と淡水の多くの魚種が定着性と言えます。
多くの魚種が住むエリアはそのままエサ場であり、身を守る隠れ場所を兼ねてます。
・藻場に定着する魚
ハオコゼ、ネンブツダイなど特殊な生態を持つものが多い。
全体的に小柄な魚が多い。
一般的には釣りの対象魚にはならない魚種が多い。
・砂地の海底に定着する魚
カレイ、ヒラメ、コチ、ハゼ、アナゴなどは海底に密着します。
その少し上、中下層を遊泳するのが、イシモチ、キス、サッパ
キスは海底から30㎝位上を泳いでます。
サッパは地域によってママカリとも呼ばれます。
・岩場に定着する魚
クエ、ハタ、イシダイ、イシガキダイ、ブダイ、ウツボなど。
岩礁の間や穴に身を潜めたり、岩礁に密着して生活している。
中下層を泳ぐのが、クロダイ、イサキ、イスズミなどです。
アジは根の表層を泳ぎます。
・深海に定着する魚
多くの魚種がいますが、釣りの対象となるのはイシナギ、ムツなどです。
・単独か?群れか?
単独の代表はクエです。国内の磯で釣れる最大の魚ですね。
群れの代表は、メジナです。磯釣りで人気のある魚です。
・海 磯の岩場にいる魚
釣りをするには非常に過酷な環境ですが、大物が狙える釣り場です。
それゆえに、多くの釣り人を魅了する釣りスポットなんですね!
では、磯の代表的な魚を紹介します。
クエ、マハタ
磯釣りの超大物として人気がある2種ですね。
クエは体長1.2m~1.5mにも達し、マハタでも1mに達する。
両者はとても良く似ていて、釣れた時にぱっと見どちらか判断しにくい。
マハタの大物なのか?クエの老成魚なのか?
生物学的にははっきりとした違いがあるそうです。
が、釣り人的にはなかなか見分けが付きにくい。
なので、両者の大物はどちらも「モロコ」と呼ばれる事が多いですよ。
メジナ
磯の岩礁地帯に群泳する暖海性の魚。
稚魚の頃は沿岸の潮溜まりなどに群れている。
2年魚以上になると夜は決まった磯にいて、日中はエサを求めて他の磯にも遠征します。
磯では潮通しが良く、白波が打ち付ける様な岩礁に多くいます。
冬にはハンバノリが着生する磯に集まる。
とても警戒心が強い。
一匹が泳ぎだすと群れ全体が泳ぎ去ってしまうんですね。
イシダイ
磯の超人気対象魚。
磯の王者とも呼ばれる。
黒潮や暖流が流れる荒磯にいる。
岩礁地帯の海底近くや岩礁の裂け目などに潜んでいます。
行動する時は、この岩礁の裂け目が起点となる為釣りのポイントとなりますね。
成魚になると強力な歯を使いイセエビ、サザエ、ウニなどを食べる。
サザエも殻ごとかみ砕く程で、歯が磨滅すると予備の歯に入れ替わるんですね。
・海 防波堤にいる魚
防波堤は波を防ぐため外海側と内湾側と狙える釣りスポットです。
付近にテトラポットなども沈められている事も多く、多くの魚種が集まってきます。
そのため非常に釣り場として魅力的なんですね!
では、代表的な魚を紹介します。
スズキ
防波堤から狙える大物の一種です。
大型になると1mにも達します。
幼魚は大型の動物プランクトンや小エビ、ハゼなどを捕食する。
体長20㎝以上になるとイワシや小アジなどの小魚を捕食する様になります。
補色は、早朝や夕方に多く、日中は水に濁りのある時が狙い目。
クロダイ
タイの仲間で南方系の沿岸魚。
夏の夜の防波堤釣りで人気がある。
一般的に水深5~50mの砂泥底にすみ、中下層を泳ぐ。
適応能力が非常に高く、岩礁地帯や内湾、河口にも入り込みます。
ボラ
沿岸や内湾の表層を群泳し河口にも入ってくる。
主に春には汽水域に入り、秋になると沿岸近くの深場に向かう。
4~6歳位で成熟してくると春先に一旦外海に出てから内湾に戻り、秋には外海の産卵場を目指して群泳してゆく。

成長の過程で、イナ→ボラ→トド
と呼び名が変わる、いわゆる出世魚ですね。
・川魚の居場所
わかりやすい例として、中流に棲むオイカワとカワムツをみてゆきましょう。
この両者の行動を見ると、状況変化によって釣りのやり方、ポイントの選び方を変える必要がある事を教えてくれます。
オイカワ
水深が浅く、流れはやや早めのところを好む。
雑食性ですが、特に藻類を多く食べる。
泳ぎ回り、川底の石に付着している藻類を食べる。
カワムツ
流れがゆるく、水深がやや深く暗めのところを好む。
雑食性ですが、特に昆虫を食べる事が多い。
あまり泳ぎ回ることはせず、エサが流れてくるとサッと捕食する。
両者の棲み分け
上記の様に1つの川の中でオイカワとカワムツの棲み分けは出来ているのですが、ある1つの条件が加わる事で状況に変化が生じます。
面白いのが、初夏になりアユが遡上してくるとオイカワの棲み場にアユが住み着く。
そして、オイカワはカワムツの棲み場に移動する。
さらに、カワムツはオイカワの棲み場に移動する。
昆虫を食すカワムツと藻類を食すアユとは共存可能なんですね。
まとめ

今回は棲息(分布)習性、行動習性についての解説でした。
いかがでしたでしょうか?
次回は摂食習性習性と様々な特殊な習性について解説します。
お楽しみに!
では、今回は以上です。
失礼します。